腰上をオーバーホールする その2
RCバルブシャフトにスペシャルEリングとダストシールを取付ける。シャフトの溝には一箇所平らな部分があるので、これをRCバルブの同じ平らな部分に合わせてはめ込めば、自然と位置が決まる。カラーも忘れずに。
シリンダにシャフトを差し込んだら、適当な大きさのレンチソケットを当てがって打ち込む。完全に打ち込むとスペシャルEリングがシリンダに当って音が変わるのでよく分る。ダストシールは面一の状態になる。
このシリンダは一番内径が狭いCシリンダなので、ピストンはDピストンということに。ちなみにAシリンダはBピストン、Bシリンダは無印ピストンを組み合わせる。フロントシリンダには「F」、リアシリンダには「F2」の刻印アリ。
シリンダの内壁やピストンに2ストオイルを塗って、シリンダをピストンにはめ込む。指でピストンリングを押さえてゆっくりと。ピストンリングがストッパピンの上に乗ったままにならないように注意。それと、シリンダを回しながらはめ込むと傷が付くので、必ず真っすぐにはめ込む。
ノックピンの位置を考えながら、プラスチックハンマーで叩きながらシリンダをクランクケースに当るまでしっかりはめ込む。
4個のナットを12mmのソケットを使って対角で、数回に分けて締め付ける。もちろんトルクレンチを使う。まずややオーバートルクで締め付けガスケットをつぶし、いったん緩めてからクランクを10回くらい回してセンターを出す。それから本締め。締め付けトルクは2.3〜2.7kg-mだが、これは最低トルクでOKだと思う。
RCバルブが完全に閉じた状態。
そしてこちらが全開状態。RCバルブは手でスムーズに開閉出来る状態でないとダメなので、ダストシールを打ち込む前によくチェックしておく。RCバルブを仮組みした時、軽く動かない時は格納スペースを削ったりして調整しておく。
シリンダヘッドもガスケットを新品にして取付ける。ガスケットの「EX UP」と書いてある方を上にして、またこのマークを排気ポート側に向けてセット。ガスケットの小さな突起がキャブレータ側に向く。
シリンダヘッドも10mmのソケットとトルクレンチを使って、対角に数回に分けて締め付ける。トルクは1.2〜1.6kg-mだが、これも最低トルクでOK。ちなみにフロントヘッドはKV3F E1、リアヘッドははKV3R E1と刻印があるので分りやすい。
スパークプラグの穴に指を当てて圧縮をチェック。正常に組み付けられていれば、かなり強力に吸い込みと吹き出しが感じられるハズ。
RCバルブのケーブルガイドベースのボルトを10mmのレンチで取付けプーリーをはめ込む。どちらも「F」「R」の刻印があるので、それに従う。そしてシャフトのナットも10mmのレンチで。ここの締め付けトルクは0.8〜1.0kg-m。
リードバルブの欠けや開きがないかチェック。完全に閉じない状態なら新品に交換しなければ。
リードバルブガスケットを新品にして、リードバルブをはめ込む。そしてインシュレータをセットしてボルト8本で締め付け。
ピックアップコイルを取付ける。コードを押さえるセットプレートも忘れずに。ここのボルトは振動で緩まないようにネジロックを塗っておく。嫌気性の接着剤で、空気が遮断されると硬化するらしい。はみ出しても固まらないだけなので、ほんの少しでOK。1〜2時間で実用硬化、24時間で完全硬化。
歯の摩耗具合もチェックし、きれいに洗浄したドライブギア取付ける。フィキシングプレートを取付けて10mmのレンチでボルトを締め付け。締め付けは軽くでOK。ロックプレートをはめてツメをペンチで曲げておく。
完成したエンジン、MC16E-1049765。外観もきれいにしておいたのでピカピカなのだ。RCバルブもスムーズに動くし、圧縮もしっかりしている。
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