チャンバーをきれいにする
サイレンサーからオイルが垂れていた。これはかなりチャンバー内部にカーボンやオイルが溜まっていそうな予感。純正のサイレンサーは分解出来ないのがネックだ。
リアシリンダについているチャンバーフランジのところのナットを12mmのソケットレンチで外す。長いエクステンションバーを使うと楽。
ラジエータがじゃまでうまくナットが外せない時は、フロントシリンダヘッドに付いているラジエータステーを外して、ラジエータを少しずらすとなんとかなる。
フロントシリンダを取付けているここのナットは、とぐろのようなチャンバーがじゃましてボックスレンチが使えない。12mmのメガネレンチで少しずつ回せば外せるけれど、先にリアシリンダのチャンバーを外すようにすれば楽。付ける時もまずフロントシリンダ側から付けたほうが良さそう。
タンデムステップのステーがサイレンサーステーを兼ねている。ボルトとナットが共回りしないように12mmのメガネレンチと14mmのスパナを使って緩める。ちなみに締め付けトルクは2.4〜3.0kg-m。
チャンバー中央部分がフレームに固定されているので、このボルトを12mmのメガネレンチで外す。これでチャンバーがごっそり外れる。ここも締め付けトルクは2.4〜3.0kg-m。
サイレンサーの出口をあらためて覗いてみると、ねっとりとしたオイルが付いていた。エンジンの調子が悪いままずっと走らせていたような気がする。
チャンバーも覗いてみると、かなり厚くカーボンというか、オイルの層が内側に付着していた。これは薬品で溶かし出さなければいけない感じ。取りあえずストックしてあるチャンバーを使ってみることにして、こいつのレストアは後回し。
サイレンサーもストックしてあった物を磨いて使うことにする。サンドペーパーでサビを取ったあと、グラインダーにバフを付けて磨く。研磨剤の「青棒」をまずフェルトにつけて・・・。
回転数は1,000回転。これだとちょっと速過ぎるのか、それともやり方が悪いのかうまくいかなかった。それに騒音がすごいので近所迷惑になってしまいそう。※青棒の粉をCRC5-56などで溶かなければいけなかった。
そこでコツコツと手で磨くことにする。ネバダルを使えばみるみる表面がきれいに。これなら鏡面加工に近い感じまでいける。なんといっても作業が静かなので、夜中に部屋の中でやれるのがいい。
チャンバーは灯油をかけながらブラシで洗浄。そのあと、台所用の中性洗剤で水洗い。これで外の油分と泥がだいたいきれいに取れた。
ストックしてあったチャンバー。詰まりはなかったけど、それでも入口近くはカーボンの層が出来ていた。この機会に徹底的に中をクリーニングすることにする。Vガンマあたりだと、内部構造はグラスウールとパンチングメッシュの積層構造だけど、NSRはどうなんだろう。隔壁構造ではないと思うけど、なんにしても溶剤でカーボンを溶かし出すことにする。溶剤としてパイプクリーナージェル(1リットル入)を各チャンバーに3リットルずつ投入。この商品は水酸化ナトリウムが4%で、他の商品より良く効きそう。たいていは1%か0.5%なのだ。水酸化ナトリウムは苛性ソーダのことだから、油やタンパク質などを溶かしてしまうのだ。
パイプクリーナージェルでチャンバー内を満たしてしまいたいので、ゴム手袋の指を切ってテール部の口を封印。水酸化ナトリウムは強いアルカリ性だが、普通のゴム手袋でも大丈夫。液圧に耐えられるように針金でしっかり留めておく。
肝心なのはカーボンが溶液に触れていること。3リットルだと少し足りないので水を注いで満タンにする。そのあと、またゴム手袋で今度はシリンダ側の口を封印。針金を口のところにきゅっと巻いておけば、これでOK。特にシリンダ側のカーボンが厚いので、ここが完全に溶液に浸るように位置を調整して2日間ほど放置。
2日ほど放置した後、溶液を流し出し(これは大量の水で処理)、チャンバーをていねいに水洗い。水が透明になるまでしつこくやる。中を覗くとカーボンが全部きれいに落ちて、地金が見えていた。たぶん内部全体もきれいになっていると思う。ちなみに、パイプクリーナージェルが手に付くと皮膚がぬるぬると溶けて痛いので、必ずゴム手袋をする。また酸性のサンポールなどと混ぜると塩素ガスが出て危険なので注意。
ネバダルで仕上げたサイレンサーをチャンバーに取り付ける。ガスケットは新品に。3個のジョイントボルトで締め付ける。トルクは1.0〜1.4kg-m、ガスケットが軽く潰れる感じ。
シリンダ側の方にはこの新品ガスケットを投入。バネ座式になっていて、しっかり排気漏れを防ぐようになっている。程度にもよるけれど再使用もOKのようだ。
すっかりきれいになったチャンバーとサイレンサーの取り付け。まず真ん中のチャンバー取付けボルトを仮止めしておいて、「頭」のシリンダの方から順に、チャンバー取付けボルト、サイレンサー取付けボルトと締め付けていく。ヘタに付けると排気漏れを起こしてしまうので注意。
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