フロントフォークをオーバーホール
今回は88テラに付けてある89のフロントフォークをオーバーホールする。フロントフォークを外す前にフォークボルトを24mmのメガネレンチで少し緩めておく。あとからだと緩めにくいのだ。アジャスタも左にいっぱい回してプリロードを最弱にしておく。
フロントスタンドがあれば作業が楽だ。ブレーキキャリパに軍手を被せておくと、周囲のパーツを傷つけなくていい。そしてホースを痛めないようにブレーキキャリパは車体に吊っておく。
フォークボルトを完全に外して、中のクッションオイルを抜く。一緒にスペーサ、スプリングシート、スプリングが出てくる。ちなみにインナーパイプをいっぱいに伸ばしておけば、フォークボルトを外してもスプリングが勢い良く飛び出すことはないようだ。
ダストシールはマイナスドライバーでこじって外す。ボトムケースを傷つけないように。そんなに堅くないので簡単だった。
オイルシールを押さえているスナップリングを同じくマイナスドライバーで引っ掛けて外す。これも楽に外せた。
ボトムケースの底にあるソケットボルトを6番の六角レンチで外す。このソケットボルトは液体パッキンが塗られていて堅い。ボルトの頭をなめないように注意。最初のひと回しが肝心で、ボトムケースをしっかり足で踏んで固定し、六角レンチにメガネレンチをかまして回す。あらかじめCRC5-56をかけておくのも有効だと思う。
ソケットボルトを外せば、フォークパイプが抜ける。フォークパイプをスライドさせて、スライドハンマーの要領で何回かコツコツ引くとボトムケースからフォークパイプがごっそり抜ける。クッションオイルも飛び散るので、オイルシールが上がってきて抜けそうになったら最後は力を加減する。
これがフロントフォークの中身。入っていた順番、向きを覚えておく。スプリングの自由長は285.4mm。使用限度は279.7mmだが、これはまったくヘタっていなかった。
ガイドブッシュの当り面をチェック。これは新品に交換。
フォークパイプブッシュ。テフロンコーティングがはがれていないか、また摩耗してツルツルになっていないかをチェック。これも新品に換えておいた。
シートパイプにリバウンドスプリングをつけて、フォークパイプの中に戻す。
フォークパイプの先から出てきたシートパイプに、オイルロックピースを被せる。フォークパイプに取り付けてあるのは、右から新品のフォークパイプブッシュ、新品のガイドブッシュ、バックアップリング、新品のオイルシールだ。オイルシールをフォークパイプに通す時は、リップ部を傷つけないように注意。フォークパイプにグリスを塗っておくといいと思う。
ソケットボルトに新品のシールワッシャーを付ける。液体パッキンも根元に塗っておく。そしてボトムケースにフォークパイプ入れ、このソケットボルトで下から締め付け。締め付けトルクは1.5〜2.5kg-m。
ガイドブッシュ、バックアップリング、オイルシールを一緒にボトムケースに打ち込む。本来はスライドハンマーを使うけれど、塩ビパイプで代用。規格サイズ40の塩ビパイプがちょうど良かった。これで内径がフォークパイプ径41mmよりやや太いくらい。写真のように古いバックアップリングを当てて、塩ビパイプを被せ、上からプラスチックハンマーで叩く。なかなか入らない時は、まずガイドブッシュとバックアップリングだけを先に打ち込んでおいて、あとでオイルシールを打ち込むようにすると楽。
スナップリングが入る溝より下にオイルシールが打ち込まれていればOK。スナップリングをはめ込む。ちなみにこのオイルシールが傷つくとクッションオイルがフォークパイプに漏れて出てくる。そんな時はオイルシールを新品に交換しなくては。
ダストシールも新品を取り付けた。これも塩ビパイプを使って打ち込むと楽だ。ダストシールを取り付けた段階で、試しにフォークパイプを伸ばして手を離すと自重でなめらかに落ちる。これでOK。
ホンダ純正のウルトラCO10号(SAE10W)。1リットル缶でちょうどいい感じ。89フォークのオイル量は435cc、今回は油面で量を調整するのでだいたいの目安で入れる。数回ストロークさせて、そのあと気泡が消えるのを5分ぐらい待ってから調整。
89フォークの油面設定は136mm。フォークパイプをいっぱいに縮めて、上からフォークオイルまでの距離を計る。写真はスポイトの136mm位置にストッパをつけたもの。これで余分なクッションオイルを吸い出したら、ぴったり136mmになる。
フォークパイプを伸ばして、スプリング、スプリングシート、スペーサの順で入れる。スプリングはピッチが小さい方が下。そして最後にフォークボルトのOリングにクッションオイルを少し塗ってフォークパイプに取り付けて完了。
フォークボルトはステムに取り付けた段階で本締めしておく。トルクは1.5〜3.0kg-m。なお、89のフォークは88より9mm長いので、その分トップブリッジから突き出させておく。今回は少しキャスター角が立つようにプラス5mmで、計14mmの突き出し量で様子をみてみる。
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