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同調を取る
2010/03/16。バキュームピストンのコンプレッションスプリングを加工したこともあって、一度、キャブレターの同調を取ってみることに。このカリフォルニア仕様のVD78A-Bキャブレターは、エアベントにバルブが付いていて、その開閉のために3番ヘッドポートの負圧取り出し口にすでにホースが取り付けられているのがやっかい。ニップルを外そうにも隙間が狭過ぎて難しいので、このホースにバキュームゲージアダプターを差込むことにした。
また、3番シリンダーの負圧を計測のために使ってしまうと、エアベントバルブを開くことが出来ないのでエンストしてしまう。仕方ないのでエアベントバルブにつながるキャブレターからのエアベントホースを抜いて、バルブの手前で大気開放。これで計測可能に。
残りの1、2、4番シリンダーはシリンダーヘッドポートのプラグを外して、そこにバキュームゲージアダプターをねじ込む。ちなみにVF1000Rは、左後シリンダーが1番シリンダーで、左前が2番、右後が3番、右前が4番となっている。キャブレターも同じ。4番シリンダーのキャブレターが基準なので、他の1〜3番キャブレターのアジャスティングスクリューを回して、スロットルバルブの開き始める位置を変更する。CVキャブレターはスロットルバルブの開き始めがバキュームピストンの上がり始めと同じとは限らないので、スロットルバルブの位置を合わせてもダメなのだ。どうしても負圧を調べて同調を取らないと・・・。
十分暖気し、メンテナンススタンドで車体を真っすぐにしてエンジンスタート。アイドルスピードを1,000rpm±100rpmに調整してバキュームゲージで計測する。デジタルバーグラフを見ると、気筒間の負圧の差は最大200mmHg(水銀柱ミリメートル)もあった。正常値は60mmHg以内なので、かなり狂っている。パイロットスクリューレンチをキャブレター下に突っ込んで、まずは基準の4番に隣り合う2番キャブレターを調整。このキャブレターアジャスティングスクリューの周囲があまりにも狭いので、エンジンを一旦切って、スロットルを回してスクリューの位置を変えないと回せなかった。
次に1番と3番を調整。同調が取れてくると調子が良くなってアイドルスピードも上がるし、基準の4番の負圧も変わってくるので、数回調整を繰り返して4気筒ともほぼ同じ負圧になるように微調整。
特殊なパイロットスクリューレンチを使ってもVF1000Rのアジャスティングスクリューは回しにくい。V4エンジンだから仕方ないか・・・。
微調整を繰り返して、最後は各気筒間の負圧の差を20mmHg以内で揃えることが出来た。すると、アイドリングの音が荒削りなサウンドからいかにも調律が取れたような滑らかなサウンドに変化。
さっそく試走してみると、まず始動性がいい。4気筒いっせいにトルクが出るのでかかりがいいはずだ。アイドリングの音量もぐっと低くなったし、また、そこからストレスなく一気にレッドゾーンまで吹け上がってくれるのが気持ちいい。走り出してみるとギアがスパッスパッと入るのが意外な変化。ギクシャクした回転の落ち方をしないので、そのせいかも知れない。5,000rpmあたりまでの低中速域がパワフルに感じられる。これがV4エンジン本来の吹け上がりかとあらためて感心してしまった。やはり同調を取った効果はしっかりとあった。