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フロントブレーキキャリパーをOH
09/08/25、29,382マイル時。フロントブレーキの効きが極端に悪くなってきたのでブレーキキャリパーをオーバーホールすることに。ブリードバルブから注射器でフルードを全部抜き取っておいてから、ブレーキホースボルトを外して、キャリパーを取り外す。片押し式2ポッドタイプの「バッテンキャリパー」。
右キャリパーの右パッド1枚だけ極減りしていた。パッド面が並行に減っていないので、片方のピストンの動きがかなり悪そうだった。また、キャリパーボルトのスリーブが固着していてキャリパーがスライドしないのが最悪。これでは片押しキャリパーが対向するパッドを引き寄せられないので、まともにディスクプレートを締め付けることが出来ていなかったと思う。
まずはピストンを抜き取る。本来はエアガンのブローで押し出すのだが、エアガンがないのでプライヤーの口を外側に向けて組み直して、これをピストンの内側に突っ込んで両手でプライヤーを押し広げながら引き抜く。絶対にピストンの外側には傷を付けたくないが、内側ならプライヤーで傷付いても問題無いと思う。そして各部品を中性洗剤を使って水洗い。
錆と汚れが付着したピストン。このままではダストシールに引っかかってしまいそう。
#2000のサンドペーパーにCRC-556を付けて円周方向に磨く。ピストンシールが当たる部分より奥はなるべく磨かないように。錆で少し虫喰い穴になってしまっている箇所があったけれど仕方ない。ピストンシールの幅より長い縦傷でなければ良しとして、とにかく表面をなめらかに。
これが問題のキャリパーボルトのスリーブ。錆で膨らんでいるようなひどい状態。#240のサンドペーパーから根気よく削って表面を滑らかに。また、パッドピンはそれほど錆びていなかったが、これも#800程度のサンドペーパーで磨いておいた。
洗浄と磨きの終わった各パーツ。特にピストンシールやダストシールが入るシリンダーの溝は念入りに歯ブラシで掃除。
新品のピストンシールにブレーキフルードを塗ってキャリパーにセット。次に新品のダストシールもセット。
ピストンの開口部を外側に向けて「尻」から押し込む。エア抜きのことを考えて一番奥までぐぐっと。
純正のブレーキパッドに交換することにする。パッドの裏には変な出っ張りのあるシムが貼り付けられていた。シムは鳴き防止やピストンとの密着を良くするために付いているが、このウエイトみたいな出っ張りで振動を軽減させるのかも。
ブレーキパッドをセットする前にパッドスプリングをはめ込む。そしてパッドピン2本をブレーキパッドに通し、キャリパーから飛び出たパッドピンの先端にパッドピンリテーナーをかませて留める。
キャリパーボルトスリーブにはシリコングリスを塗っておく。左右のラバー製のブーツにもたっぷりとシリコングリスを。
ブレーキディクスが摩耗して段差が出来ているので、当たりが出るようにあらかじめブレーキパッドの角を落としておいた。ちなみに右ブレーキディスク厚は4.4mm(限界4.0mm)、左ブレーキディスク厚は4.7mm(新品時4.8〜5.2mm)だった。
キャリパーの取付け。キャリパーピボットボルトにもシリコングリスを塗っておく。締め付けトルク2.5〜3.0kg-m。下のキャリパーボルトは2.0〜2.5kg-m。ブレーキホースボルトは2.5〜3.5kg-m。ちなみにRキャリパーブラケットボルトとLキャリパーブラケットピボットボルトは3.0〜4.0kg-m。アンチダイブピンボルトは1.0〜1.5kg-m。アクスルホルダーナットは3.5〜4.5kg-m。ブリードバルブは0.4〜0.7kg-m。
車載のシックネスゲージで左ブレーキディスクプレートの左側面のクリアランスが0.7mmになっているかチェック。おかしければアクスルホルダーナットを緩めて、フロントフォークの下端の開き具合を調整しておく。
試乗してみると握り始めからしっかりと食いつくように効き、制動力も大幅にアップした感じ。もちろんブレーキレバーのタッチもいい。いままでの状態があまりにも悪かったせいもあるが、激変といった感じでフロントブレーキが効くようになって、大満足。