リアブレーキキャリパをOHする
ブレーキフルードを交換するついでにリアブレーキキャリパもOHすることに。88NSR用にストックしておいたピストンシールとダストシールがあるのでこれを使用。パーツリストで調べると共通パーツだった。キャリパボルトを外してメッシュホースを付けたままごっそりと取り外す。メッシュホースを外した場合はワッシャーを換えないとダメなので今回はそのままだ。
ブレーキパッドを外すために、まずハンガピンプラグを外す。これはネジピッチが細かいせいなのかすごく固い。そこでショックドライバーでゴン。こんなところのネジの頭をナメてしまったら作業が大幅に遅れてしまうのだ。ちなみに締め付けトルクは0.2〜0.3kg-m。そして奥のハンガピンを六角レンチで回して外すのだが、これも固い。しっかりとキャリパを固定しておいて一気に力をかけて緩める。
キャリパを外す前に出来るだけピストンを押し出しておけば楽なのだが、今回は奥まった位置からピストンを抜き出す。ピストンの外周を傷つけないように内側に工具を当てるようにする。車載プライヤを分解して左右逆にセットし、これでピストンの内側を押し広げるように力を加えておいて引き出してみた。これで簡単にピストンが引き出せるのだ。
ピストンにはやや汚れがあったものの、それは全てダストシールより外の部分。2000番の耐水サンドペーパーにCRC5-56をつけて円周方向に磨いておいた。ピストンは金色のコーティングが付いているので、なるべく削らないように軽〜く磨くだけにしておく。
古いピストンシールやダストシールはもう使わないのでマチ針を差して引きずり出す。そしてシールの入る溝などを中心にパーツクリーナーで洗浄。次に新しいピストンシールとダストシールにブレーキフルードを塗布してはめ込む。フルードをシール側面にも塗っておくと、ねじれて溝に入り込むことが無くていい。最後にピストンを慎重に一番奥まではめこんでおく。
パッドは残量があったのでそのまま再使用。パッド裏に金属のシムをかます。Rパッドの裏にはさらにリテーナもセット。リアパッドをチェックすると角が大きくカットされていたが、これは4耐レースの時、リアホイール交換でスムーズにブレーキディスクプレートを差し込むために加工されたようだ。サーキット用なのでパッド裏に鳴き止めのグリス類は一切塗らない。多少音が出ようが、グリスがディスクプレートやパッドに付くリスクを避けるのを優先。
同じくパッドピンにもグリス類は塗らない。800番の耐水サンドペーパーで磨いて、パッドと擦れて出来た段差を滑らかにしておくだけにする。爪が引っかからなければOK。なるべく不要なグリスを使わないようにするのがサーキット仕様。
キャリパボルトなどゴムブーツで覆われているところにはシリコングリスを塗っておいた。ここはよく錆びるので防水を期待してだ。
キャリパをセットしてキャリパボルトを締め付けて取付け。トルクは2.5〜3.0kg-m。このボルトはどうもしっかりとトルクが立ち上がらない感じ。下手をするとトルクレンチが止まらずどんどんネジ山のピッチを伸ばしていってしまうので注意が必要。どこまでも締め込み出来そうな感覚があったら、いったん緩めてからもう一度締め付けてみる。
今回、リアブレーキにはホンダ純正のブレーキフルード(DOT4)を入れてみた。リアブレーキはあまり重要ではないのでこれでOKだと思う。吸湿性の高い高性能フルードは劣化も早いので、意味なくDOT5を入れても逆効果のような気がする。
リザーブカップレス仕様なので、エア抜きが難しそう。そこで100円ショップで買った漏斗をセットして、ここにたっぷりフルードを溜めるようにした。これならジェットオイラーに詰め替える必要もなく、直接フルード缶から注げば良かった。
そしてエア抜き。ブリーダバルブにレンチをかまし、ホースを装着。ブリーダバルブを緩めておいてまずは注射器で一気にエアとフルードを抜き出す。これはやらなくていいかも知れないが、エア抜き作業が早く済む気がする。
正統派のエア抜き方法。ブリーダバルブにホースをつけて端をボトルに突っ込んでおく。そしてブレーキペダルを数回ポンピングし、ペダルを押しつけたままの状態でブリーダバルブを少し緩めると、エアとフルードが押し出されてくる。ブリーダバルブを再び締めたら、押しつけていたペダルを離す。バルブを締める前にペダルを離したら逆流してエアを吸ってしまうので注意。また、リザーブホース内のフルードが無くならないよう、どんどんフルードを継ぎ足してやるのも重要。この作業を何回も繰り返し、押し出されてくるフルードに気泡が混じらなくなればエア抜きOK。ペダルを押した感触もカチカチになる。ちなみに今回はホースの途中にワンウェイバルブをかませておいた。これだとフルードの逆流がかなり防げる。ホームセンターで売っていた金魚鉢用の逆流防止弁(298円)を流用。ただし、プラスチックがフルードに侵されてしまうので2回ぐらいしか再利用出来ない。
リザーブホース内にどれだけ空気を入れておくかは難しいところ。試行錯誤して決めた。リザーブホースは写真のようにタイラップでフレームにセット。
ピストンをきれいにしたり、ピストンシールを新品に変えたことで引きずりがまったく無くなった。また、いままでパッドの一部しかディスクプレートに当っていなかったのが、きれいに全面当るようになっていい感じ。ガチガチなタッチなので、たぶんエアもきっちり抜けたと思う。これでリアブレーキキャリパのOH完了。
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