カウルを塗装する(その2)
イサム塗料のエアーウレタンスプレーで塗装。これは2液混合タイプのウレタンアクリル樹脂塗料なので、まずはスプレー缶を2分間よく振ったあと噴射ボタンを一度押し、缶内の硬化剤のボトルに穴を開けて硬化剤を塗料の中に吹き出させる。15秒おいてまた1分間振り、2液がしっかり混ざったところで、準備OK。今回は真冬でもないし、缶を湯で温めるのはやめておく。あまり噴出力は変わらないと聞くし、それよりもカウルの方を温めて塗料の付きを良くした方がいいように思う。取りあえず塗装前にクルマの中にカウルを入れておいた。5月中旬、外気温25℃、車内温31℃。※あとで検証してみると、やはり吹き付けの粒が大きいとゆず肌になるので、少し湯煎でスプレー缶を温めた方がいいと思う。液が柔らかくなって粒子も細かくなるようだ。
塗りにくい下側からプシューッ。15cm〜25cmほど離して、1度目は軽くカウルの表面を覆う感じで。角の部分は少し念入りに。手首振ると塗装面までの距離が変わるのでなるべく腕を使い平行移動を心がける。そして吹き初めと折返しは必ず塗装面を外す。そうしないとそこだけ2倍の量を吹き付けてしまって塗料が垂れてしまいがちなのだ。
1度吹き付けてから、10分ほど乾かして2度目をスプレー。普通のアクリルスプレーは薄く何度も重ね塗りをして仕上げるけれど、ウレタン塗料は2度目の塗りで垂れる寸前まで吹き付けて仕上げる。塗料の粘度が高いのでスムーズにスプレーを動かしていればいきなり垂れ出すことも少ない。そしてたっぷり盛った塗料の表面張力で美しい塗装面を作り出すのだ。いつまでもパラパラと軽く振りかけているとゆず肌になって逆にきれいに仕上がらない。またスプレー缶は後半になってくると粒子も荒れてくるので、最後の仕上げはたっぷり入った缶を使うべし。
315ml缶の標準塗装面積は2度塗りで0.6〜1.0。計算では5本でちょうどいい感じだったが、ついケチって4本で仕上げてしまった。やはり大胆にたっぷり吹き付けないと本来の艶が出て来ない。まァ、次にレッドを乗せる部分は問題ないし、その他の部分も最後にコンパウンド等で磨けば十分な艶が出ると思うのだが・・・。ロスホワイトを塗り終えたら、そのまま3日放置して硬化させる。いったん硬化すればガソリンにもシンナーにも侵されない丈夫な皮膜になってくれる。
3日後、2色目の塗装のマスキングの前に、2色目を塗る大体の部分を#800のペーパーで足付け。そしてまた中性洗剤で洗って、さらに脱脂。ウレタン塗料を重ね塗りする場合は硬化前にしないと密着しない。完全硬化した場合は必ずまた足つけをしないとダメなのだ。
マスキングは普通の紙のマスキングテープで。これでもけっこう曲線が描けたりするし使えるアイテム。それと緑色の養生テープは便利。手で簡単にちぎれるし密着もなかなかイイ。もちろん高価なマスキングテープを使えばエッジもシャープになって美しいと思うが、レース用カウルなのでこの程度で十分な気がする。
広い面はビニール袋でマスキング。最初の塗りではカウルの裏面のマスキングはしないけれど、重ね塗りの時は、塗料が裏から表に吹き出て最初の塗装面を汚さないように要所をカバーしておく。
ABS樹脂のフロントフェンダーもウレタン塗装することにする。傷も少しあったのでヤスリで削り取って、最後は#400のペーパーで足付け。ABS樹脂のフェンダーはかなり変形するので、密着力の強いウレタン塗装でないとやはりダメだろうと思う。
ロスホワイトの時は下地と紛らわしくて吹き付けの加減が難しかったが、2色目のレッドは1色目と色の差があって分りやすい。慣れてきたので、垂れる寸前の状態も艶の具合で分るようになってきた。ここできれいな塗装面が出来れば、あとの磨きも要らなくなるので、出来るだけ完成に近い仕上げにしたいところ。特に目立つ上面は丁寧に。
マスキングをしたままレッドの上にブラックを吹き付けて、一部グラデーション仕上げにしてみた。まずは10分ほどレッドを乾かしてからブラックの吹き付け。これならしっかり塗料が密着してくれるのだ。ただし、いくら表面が乾いたからといって新しくマスキングすると跡が付いてしまうので、しっかりとした塗り分けをしたいなら完全硬化を待って、もう一度足付けをしてから、という流れになる。ちなみにウレタンスプレーは使い出すと缶内で硬化して変質してしまうので、1日以内で使い切らなければいけない。
塗料が乾いたらマスキングを剥がす。塗装後にすぐに剥がすと糸を引くし、あまり遅過ぎると断面が汚い。1時間後ぐらいで剥がしたが、もう少し早くても良かったかも。マスキングを剥がす瞬間が塗装で一番楽しい時間だ。もし失敗していたら、アセトンなどで全部落としてやり直し。下の色は完全に硬化しているので大丈夫だ。
今回は純正タンクの赤/白ラインが生きるようなデザインを考えてみた。マスキングで出来た微妙なラインのギザギザなどは硬化する前にカッターの刃で削って修正。ここまでは十分きれいな仕上がり。これでまた3日間硬化させ、そのあと、足付けをして艶が無くなっているロスホワイト部分をコンパウンドで磨いて艶を出すことに。
塗装面の小さなゴミの盛り上がりなどは#2000のペーパーで除去。あとは液体コンパウンドで足付け部分を磨いて完成。ただ、今回は調子に乗ってさらに細目の半練りコンパウンド→アクリサンデー(アクリル用液体コンパウンド)→超鏡面仕上げ液体コンパウンドで全体をとことん磨いて仕上げてみた。塗装面が平滑になると磨き傷も目立ってくるので、それを消すのがとてもめんどくさい。少し後悔。ちなみにキッチンペーパーでは固くて筋目が出る。柔らかいティッシュペーパーを使わなくてはダメな感じ。
そして出来上がったカウルを車体に取り付けてみる。デザイン通りの仕上がりで満足。グラデーションもワンポイントアクセントで成功だ。艶も申し分なく、近くで見ても美しい仕上がり。
赤/白タンクのラインを生かしたデザイン。なるべく純正っぽい感じで作り上げるのがコンセプトだった。本当は青が好きなのだが、まァ、タンクを塗装したくないので、今回は赤/白バイクで。さて、これで塗装も終了し、ほぼ完成状態。あとはステッカーを貼って着飾ってみようか。
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