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クランクケース内の肉盛りをする2

先回一次圧縮アップのために行なったクランクケース内の肉盛りはあまりにも少量過ぎて効果がない、ということでさらに思いっきりモリモリにしてみる。吸気ポート出口付近は先回こんな感じだった。

今回は、先回山のように尖らせておいた「頂上」のレベルまでエポキシパテを持って、全体をなだらかな斜面にしてみる。これでかなり底上げされた。もちろんこの分、掃気ポートの入口は狭くなる。ただ、今回は「流れの良さ」よりも「押し込む力」を優先させてみる考えだ。4ストロークエンジンは混合気が負圧になったシリンダ内に吸われていくという感じだが、2ストロークエンジンは混合気がクランクケース内の正圧でシリンダ内に噴き出すという感じらしい。多少ポートが狭くても、圧力を高めた方が充填効率が高まる気がする。

吸気ポートの反対側は、こんな感じだった。先回残した穴は、この穴からガソリンをベアリングに落として冷やそうというモノ。また、少しでもここから放熱させようという意図があるらしい。ただ、TZなどのレーサーのチューンでは埋めるのが定番となっていると聞いて、今回はこの穴も埋めて思い切って肉盛り。

こんな感じに大胆にパテを盛った。アールになっていた部分を埋めて45°の斜面を作った感じ。

こちらは吸気ポート側からみた図。吸気ポート右端の部分はシリンダスカートを差し込むと壁が出来る部分なので、この「デッドスペース」にもパテをモリモリと盛る。これで吸気ポートのリブの右側の通路は半分ほど狭まってしまった。さらにクランクケース内の容積を少なくしたいので、リードバルブの下のスペースも埋めることに。

白い部分が全部パテ。ちょうどリードバルブガイドがぴったりと当るまでモリモリ。リードバルブの裏のスペースは、リードバルブが開こうとする圧力を逃がすために必要とか、リードバルブを戻す圧力を掛けるためにも必要とかいろいろ聞くけれど、今回はとにかく容積縮小のため、全ての余分なスペースをつぶす。

この仕様で試走してみると、微妙に性能ダウンしてしまった。最高回転数は200rpmぐらい落ちて10,000rpmを少し超える程度。また、最初のダッシュ力が少し弱くなってしまった。一次圧縮は確実に高まっていると思うのだが、やはり吸気ポートの出口を狭めたのがいけなかったかも知れない。

そこで今度は吸気ポートだけを広げてみる。特に右側の通路は半分くらいに狭めているので、これを右の方に広げてみた。また、ポート全体もなるべく開口部が広くなるように若干削る。

クランク側から見る。吸気ポート左端の「デッドスペースの肉盛り」は出来るだけ残しながら、通路を2/3ぐらいの広さにまで回復。これで一次圧縮アップの効果がうまく引き出せればいいのだが・・・。

さっそく試走してみると・・・なんとさらにパンチ力が無くなってしまった。まだ「フン詰まり状態」の吸気ポートの方がパンチがある感じだった。吸気ポートが広く、掃気ポートへの通路が狭いというカタチはどうもうまくないようだ。

リードバルブガイド下のスペースを埋めたのもまずい気がしてきた。このスペースはリードバルブの動きうんぬんよりも、混合気を蓄えておくインテークチャンバーの役目があるらしい。たしかに、パワーの出たディオ(A18)のリードバルブベースは5mmほど上にセットさせるようになっていて、このスペースがその分拡大されていた。どうもここはパワーアップに必要不可欠のようだ。リードバルブガイド下のスペースは元に戻そう。

あらためてほじってみると、かなり深いスペースが出現。吸気ポートはなるべくそのままにしたが、それでも結果的にかなり広がった。これでこの「インテークチャンバー」部分に溜めた混合気をドンッと送り込めるようになって、出足が改善されると思う。

クランクケースを上から眺めるとこんな感じ。左側のリードバルブベースのはまる部分はほぼノーマルに戻し、右側のクランク両サイドにある掃気ポート下部の肉盛りはそのまま。

期待して試走してみると・・・増々パンチ力が弱まってしまった。上も200rpmほどさらに回らなくなった感じで、もう10,000rpmに届かない。全体的にスムーズさは出ていると思う。ただ、パワー感は全域で弱い。中途半端に一次圧縮をダウンさせたのと、掃気ポート入口の狭さという悪い面が重なったという感じだ。

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