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フロントフォークをOHする

ミニバイクレース用のTZR50Rのフロントフォークのオイルシールがイカれていて、左右ともオイルが漏れている。フォークオイルもずっと換えていないようなのでこの際、オーバーホールすることに。フォークオイルはモチュールのEXPERTミディアム/ヘビィ15W。オイルシール(5H0)93110-30013とダストシール10W-23144-F0は純正パーツで交換。

フロントフォーク関係各部のボルトを全て緩めておいてから、チャンバーを外してフレーム下部に脚立を入れ、フロントを浮かせる。リアはレーシングスタンドで固定してある。そしてホイールやスタビライザー、ブレーキキャリパー、ステアリングダンパー等々を外していく。

ただ、TZR50Rの場合、スプリングを押さえているフォークプラグを押し込みながらスナップリングを外さなければいけないので、フォークはトップブリッジに留めたままにしておく。まず、キャップを外して・・・。

太いドライバーで鉄のフォークプラグを少し押し込む。そうしながらフチにあるC字のスナップリングを細いドライバーでこじって取り出す。コツはスナップリングの切り欠けに対して90度辺りをこじること。180度部分ではこじり出してもまた溝に戻ってしまうし、先端部分ではスナップリングが回ってしまってうまくいかない。90度辺りだと簡単にスナップリングが外れてくれるのだ。

スナップリングを取り外すとフォークプラグが飛び出てくるので注意。ゆっくり押さえる力を緩めて、スプリングの反発力を開放してからフォークプラグを取り出す。左からスナップリング、フォークプラグ、3枚のスペーサ、スプリングシートだ。3枚のスペーサはたぶんあとで追加されたイニシャル強化のための改造パーツだと思う。厚さ3mmで計9mm分、余計にスプリングを縮めておくというわけだ。

フォークプラグを外したら、車体からフォークを外し、中のスプリングを抜いてフォークオイルも抜いておく。かなり汚れていたし、ヘドロのように固くなっていた。これでは動きが悪いはずだ。

ボトムケースからインナーチューブを抜くために、ボトムケース底のソケットボルトを外す。これはロック剤が塗ってあるのでかなり固いので注意。T字タイプの六角レンチで緩めるが、先にヒートガンでソケットボルトを熱しておくとロック剤が溶けて良いかも。ソケットボルトを緩ませるコツは一気に力をかけること。そのためにボトムケースをしっかりと固定しておけなければダメだ。最初にしなったり、微動したりするとそれでもうアウト。

ソケットボルトが外れれば、あとはスポッとインナーチューブが抜ける。インナーチューブの内部のシートパイプ、リバウンドスプリング、そして先端のオイルロックピースも取れる。そのあと、ボトムケースのダストシールを外し、さらにスナップリングも外す。ここまでは楽だが、その下のオイルシールが固いので、まずはヒートガンで温めてみる。

19ミリのスパナをかまして、さらにメガネレンチで延長してテコの要領でオイルシールを抜く。横に倒して、ボトムケースを足で固定しておくとイイかも。

全て分解したフォーク。組み立ては、シートパイプにリバウンドスプリングを通して、これをインナーチューブの中に入れ、出てきた先端にオイルロックピースを被せる。それをボトムケースに入れ、底からソケットボルトでシートパイプを固定する。ちなみにソケットボルトを締めたり緩めたりする時はインナーチューブをいっぱいに引っ張っておくと空回りしないで済む。

点錆がスライド部分にあったので#2000のサンドペーパーで軽くならして、引っかかりの無いようにしておいた。あとのサビ色はネバダルで磨いたらきれいに取れた。

各パーツをパーツクリーナーできれいにして組み付ける。ソケットボルトにはネジロック剤を根元に塗って取り付け。シールワッシャーは再利用。ちなみにスプリングの自由長は466.5mmと469.0mm。2.5mmの差があった。それで短い方にはスペーサが1枚多い4枚入っていたわけか。

オイルシールを取り付ける。38φの丁度いいステンレスパイプをインナーチューブに被せ、これでオイルシールを打ち込む。フォークを逆さにしてボトムケースの底を打つのも手だ。ちなみにオイルシールをインナーチューブにはめる時は、インナーチューブ先端にビニールテープを巻いてリップ部を保護しておく。またリップ部にはフォークオイルを塗っておくといい思う。それと打ち込みやすくするためにオイルシール外周にはグリスを塗っておく。

オイルシールはスナップリングの溝が見えるまで打ち込む。打ち込み過ぎは良く無い。スナップリングには錆び予防のグリスを塗っておいた。また、ここでインナーチューブが自重で下がっていかないようならオイルシールの打ち込みミスだ。

オイルシールの次はダストシールを適当に打ち込む。これも外周にグリスを塗っておく。大きめのドライバーで押し込んでもOK。ダストシールを付けた状態でもインナーチューブは自重でスムーズに下がっていく。

フォークオイル量は左右それぞれ170ml。油面だと147.5mmだ。メスシリンダーで計って入れる。

何回かストロークさせてフォークオイルを行き渡らせてから油面をチェック。スプリングは入れずに、いっぱいに縮めた状態で上から計測。スポイトに147.5mmをマークして、余分なオイルを吸い出す。

そしてスプリングを入れ、スプリングシート、スペーサ、フォークプラグ、スナップリングを取り付ける。外した時と同じように車体にセットしておいて作業すると楽。ちなみにTZR50Rのスプリングはピッチの狭い方を上にして入れるようだ。フォークの突き出し量は最初の通り10mmにしておいた。

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