88NSRのリアサスをOHする
09/09/27、88テラと88ロスのリアサス(ショックアブソーバー)をオーバーホールする。といってもダンパーオイルを交換するだけだが・・・。88テラ12,150km時、88ロス14,880km時。リアタイヤの上にパンタグラフジャッキを乗せ、シートレールを持ち上げておいてリアサスを外す。
万力でアッパージョイントを固定しておいて、ロックナットにマイナスドライバーを当て金槌で打って緩める。
次にアジャストナットをウォータープライヤーなどで回してスプリングをいっぱいまで緩めておく。
スプリングコンプレッサーはホームセンターで長ネジとUボルトプレートを購入して製作。長ネジの一端をダブルナットで固定し、もう一端のナットを締め込んでスプリングを縮ませる。
ロアジョイントのロックナットにスパナが掛けられるようになるまでスプリングを圧縮。ロアジョイントの「首」に24mmのスパナが掛かるようになっているけれど、今回はバイスプライヤーで代用。
ロックナットを22mmのスパナで固定しておいてロアジョイントを緩める。緩み止め剤が使ってあるので、スパナやバイスプライヤーを金槌で叩いて一気にトルクをかける。ロアジョイントを温めてやるのもイイ。
自由に回転するダンパーロッドに取付けられたロックナットを外すのは少々やっかい。ロアジョイントを締め付けておいてロックナットを回すのだが、今度はロアジョイントが緩まなくなる。そこでロアジョイントの中に適当なカラーを入れて締め付けることに・・・。これだとあとでロアジョイント単体で緩ませることが可能なのだ。
圧入されているダンパーキャップの穴にドライバー等を当てて金槌で叩いて押し出す。少し隙間が出来たら、反対側もコツコツ叩いて外していく。ロッドの傷防止にダンパーラバーは付けたままで。
88テラも88ロスもダンパーロッドに錆点などがなくきれいな状態。また、オイル漏れも無かった。
塩ビ給水管に継ぎ手キャップを被せただけの自作のスペシャルサービスツール。ダンパーロッドに被せて、ダンパーボディベースだけを押せる長さにしておく。
油圧プレス機でダンパーボディベースを押し下げる。ちなみに88NSRのサスはガス分離加圧式単筒型。奥にフリーピストンで仕切られた高圧窒素ガス室があって、窒素ガスが縮むことで押し込まれたロッド分の容積を吸収する。
ダンパーボディベースが下がると、ストップリングがシリンダーの溝から外せる。
ロア/アッパージョイントそれぞれの穴にドライバーなどを差込んで取手代わりにして、手と足で思いっきり引っ張るとダンパーボディベースが抜ける。ダンパーオイルが飛び散るのでビニール袋の中で作業。88テラも88ロスもオイルが泡だっていて、かなり劣化している状態だった。これでは正常な減衰が出来ていなかったと思う。
分解した88NSRのサス、ダンパーの品番はKV3-701。
88NSRのダンパーの減衰方式は伸縮独立シム式。青矢印は圧側のオイル流入経路。伸び側のオイルはシムがたわんで赤矢印のように出てくる。
赤矢印は伸び側のオイル流入経路。圧側のオイルはピストンの反対側のシムがたわんで青矢印のように出てくる(と思う)。
シリンダー内にはダンパーオイルをいっぱいに入れればOK。はめ込みの際、最後にエアが抜ける通路がダンパーボディベースに開いている。そこから出たエアはシリンダーに開けられたドレンホールから外に出る構造。
シリンダー内をパーツクリーナーで洗浄。内部隔壁とガス室との隙間にも汚れたオイルがたまっているので少しフリーピストン(ダンパー?)を押し下げて洗浄。
エアガンでパーツクリーナーを飛ばしておく。ピストンも同じようにきれいに。
フロントフォーク用のモチュールEXPERTミディアム/ヘビィ15Wを入れてみた。140cc程度。ダンパーボディベースをはめ込んだ時にちょうどいっぱいより少し多めに。ピストンを少しストロークさせ、オリフィスなどに入り込んだエアを抜く。
ダンパーボディベースを手でゆっくりと押し込むとドレンホールから余分なオイルが吹き出てくる。この時、オイルと一緒に上部にたまったエアが排出される。ピストンは出来るだけ抜き出した位置にしておいて、ロッドの入り込む量を最小にしておく。そしてプレス機にかけてダンパーボディベースを押し込み、ストップリングをはめる。
ロッドを10mmほど押し込んだ際の重みを測定してみる。2本のサスとも正常値の15.4〜20.0kgの数値が出た。ちなみにOH前のテラは15kg、ロスは12kgだった。要交換値は12.3kg。
ダンパーシリンダーにスプリングをセットして圧縮。そしてまずロックナットをロッド奥いっぱいに締め付け、次にロアジョイントをロックナットに当たるまでねじ込み、最後にロックナットで締め付け。ロアジョイントには緩み止め剤を使用。
シートストッパーの突起がロアジョイントのくぼみにはまるようにセット。ロアジョイントのニードルベアリングはモリブデングリスでグリスアップ。ダストシールのリップにもたっぷりと。
ウォータープライヤー等でアジャストナットを締め込む。スプリング取付け長は160.3mm。最後にロックナットをドライバーと金槌で締め付けて終了。締め付けトルクは8.0〜10.0kg-m。ちなみにスプリング自由長は172.3mm(限度168.9mm)だが、テラ、ロスの2本ともスプリングのヘタリはなかった。
オーバーホールが済んだテラとロスのリアサス。車体に取付けて跨がってみると以前より腰があるのに、細かく動いているような感触。これは期待出来そう。
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