AraiグレースURIIをペイントする
08/06/06、カッティングシートを貼ったAraiのフルフェイスヘルメットを今度はペイント仕様にチェンジすることに。このヘルメットは谷尾商会のオリジナルバージョン、URグレースII。Araiのラパイド系の帽体を使って廉価販売されたモデル。2004年5月製造、新品で1万9110円だった。まずはカッティングシートを全て剥がし、額のAraiステッカーと後ろのGRACEIIステッカーを剥がす。どちらもクリアで埋め込まれていなかったので、簡単に剥がすことが出来た。あとはシールドやシールドホルダー、ダクト類も外しておく。
消費生活用製品安全法の「PSCマーク」と「SGマーク」を丁寧に剥がす。これはあとでクリアの下に埋め込むつもり。特にSGマーク制度は万が一の製品の欠陥による人身事故に対して賠償措置が取られるので、このステッカーは大切に再利用する。
今回のテーマは、いかに手間をかけずに、安く、そしてきれいにペイントするか、だ。通常は行うプラサフ(プライマー+サーフェイサー)塗装もやめ。せっかくメーカーがきれいな表面を作ってくれているのに、また一から下地を作ることはないと思う。塗料でどんどん重くなるのも嫌だ。本当はベースのホワイトも塗りたくなかったが、転倒傷があるので今回はここから始めなければ仕方ない。やれやれ・・・。#400のサンドペーパーで傷部分を修正、そして足付け(パテや塗装が剥がれないように表面を荒らすこと)をしておく。赤い色はたぶんもともとのプライマーかサーフェイサーの色。
上から吹くベースのホワイトに透けないように白い色のパテをチョイス。これはクルマのボディ用の薄付パテ。これを塗り付けて1日置く。
パテを#800のペーパーできれいに整形。この薄付パテは接着力が強くないので、イマイチだった。下手をすると削っているうちに小さな穴が出来てしまう。エポキシパテのようなモノの方が良かったと思う。
ベースのホワイトを塗るために一度全体を#800のペーパーで足付けしなくては。水研ぎなので内装が汚れないようにマスキング。ゴム縁も汚れるとやっかいなのでしっかりとマスキング。今回はゴム縁は外さずに進める。無理に取り外しても再び接着した時の強度の問題があるし、外さないでもきっちりマスキングすればOKなのだ。
悩んだのは、口元のエアインテークの穴をどうマスキングするか。結局、サランラップを詰め込むことにしたが、これがバッチリ。あとの塗装工程でもこのサランラップ詰めが役に立った。ヘルメット後ろのエアアウトレットの穴もサランラップ詰めで。
全体を軽く足付けしてマスキングを剥がす。擦り過ぎると地の色が出てしまうので、ほんとに表面のクリアに軽く傷を付けていく程度。艶消し白になればOKだ。転倒傷の表面もきれいになったけれど、地の色が透けてしまった。ホワイトを乗せても白は被覆力が弱いのでたぶん透けそう。でも手数を増やしたくないのでこのままGO。
ベースのホワイトを吹くためにしっかりとマスキング。ゴム縁のマスキングは紙製の安いマスキングテープで十分。ただし、1mmの狂いもなくきっちりとする。
全体にペイントするためにブルーシートで覆いを作った。ベースに敷いたブルーシートは百均ショップで買った物なので塗装ごとに使い捨て。ちなみにヘルメットの塗装台も百均ショップの鉢植用のワイヤースタンド。
アサヒペンクリエイティブカラーのグロスホワイトをベースカラーにする。420cc缶で798円。ぬるま湯で缶を暖め、ガス圧を少し高めておいた方がいい感じ。ゆず肌にならないように、15cmぐらいにぐっと寄ってプシュー。離れ過ぎると途中で粒子が乾いたりしてゆず肌になりやすいと思う。また、スプレーを移動させるスピードが速過ぎてもゆず肌になりやすい感じ。ぎりぎりゆっくり移動させてたっぷり吹き付け、塗料が溶け合って平面になるようにする。ただし、垂れないように細心の注意で。
マスキング部分が指触乾燥(指で軽く触って指紋が付かない程度)したらすぐにマスキングを剥がす。塗装が硬化した後だと剥がした時にバリバリのエッジになってしまうからだ。エアインテークのサランラップも慎重に取り除く。これでベースカラーが塗れたわけだが、転倒傷がなかったらこれまでの工程は全てパス出来たはず。
また防水のためのマスキングをして、全体を#800のペーパーで足付け。これは最後にウレタンクリアで仕上げる予定なので、そのための下準備。
ダクトも軽く#800のペーパーで足付け。シールドホルダーは塗装しなくてもOKなのだが、これも転倒傷があったので磨いて修正したため、最後にウレタンクリアを塗ることに。同じく足付けをしておく。
ヘルメットの中心線をマスキングテープでマークしておいて、そこからの距離をディバイダで計測して左右対称位置を出す。マスキングはニチバンのクリアラインテープ5mm幅(628円)を使用。これは塩化ビニール製で伸びもあって曲線もOKだし、剥がした時の塗装の切れが抜群なのだ。
ダクトも合わせてマスキング。今回はシンプルなデザインなのでマスキングは比較的簡単。
アゴの部分のデザインもディバイダを使って左右対称に。あとは塗りたくない部分をビニールなどでマスキングして準備OK。塗装面はパーツクリーナーでよく脱脂しておく。
アサヒペンクリエイティブカラーのファイアーレッドをプシュー。塗る部分が少ないので300cc缶で十分、698円。
次にマスキングの位置を変えて、同じくアサヒペンクリエイティブカラーのウルトラマリン(300cc/698円)をプシュー。ところがマスキングに紙を使っていたので、溶剤が浸透して赤色にくっ付いてしまった。それを修正しているうちに青色も汚れてしまって大失敗。やはり基本通り、1色塗って1日乾かして次の色を塗るべきだった。それとマスキングは溶剤を通さないビニールでないと、どうしても先に塗った塗料を侵すようだった。
仕方ないのでいったん乾かした後、ペイントをペーパーで擦り落として、またマスキングからやり直し。今度は赤と青をちゃんと一日置いて塗った。う〜ん、かなり二度手間なことをやってしまった。
そしていよいよクリアを吹く。イサム塗料のアクリルウレタンスプレーを使用。315ccで2180円。高価だけど2液タイプのウレタン塗装は完全硬化後はシンナーにも溶けず、焼付け塗膜に劣らない強くて艶のある塗膜が出来るのだ。ただ、こいつはしっかりと足付けしないとダメなので、せっかく塗った赤と青を#800のペーパーで擦って艶消しにする。白い部分は最初に足付け済みだ。ダクトに施したペイントも同じく軽く足付け。
アクリルウレタンスプレーは2液タイプで使い切り。レバーを押して中のボンベに穴を開け硬化剤を混合、よく振って混ぜたあと、これも少し缶を湯で暖めた方がいい感じだ。もともと垂れにくい塗料だけれど特にクリアは粘り気が強いので大胆に一気に塗れる。理想は垂れる寸前で仕上げる。塗れたような素晴らしい艶が出て、これぞウレタン塗装、という感じ。
ウレタンスプレーも出来るだけ近づけてゆっくりと移動させ、ゆず肌にならないように気をつける。ゆず肌になるとあとで磨く手間が増えてしまうのだ。また、スプレーはもったいなくても必ず脇で試し吹きをしてから始める。最初のひと吹きは塗料が泡立ってしまうことがあるのだ。そして吹き始めはヘルメットの外に吹いて、そのあと一定の速度で横移動させて、最後はヘルメットの外で吹き終わる。ちなみにウレタンが肺に入るとまずいらしいのでしっかりと防塵マスク、そして防塵メガネをして塗装。
ウレタンクリアは30分もすれば指触乾燥するので、すぐにマスキングを外す。そのあと72時間で完全硬化、3日間はじっと我慢の子。日中はクルマの中に入れておいた。40℃以上になる車内なら反応がかなり促進されると思う。ゆず肌になっていなければウレタンスプレーの吹きっ放しでも十分艶があってOKなのだが、今回は試しにさらに磨き工程もやってみた。またマスキングして#2000のペーパーで水研ぎ。クリアを全部削ってしまわないように軽くかける。せっかくの濡れたような艶が艶消しになってちょっと不安。
そのあとソフト99の極細コンパウンドで磨く。これは柔らかいティッシュペーパーで。この時点で艶が戻り、硬質なウレタン層の質感が出てきて嬉しくなる。
さらにソフト99の液体コンパウンド9800で磨く。これは0.5ミクロンの粒子を使った鏡面用コンパウンドだけど、少し固過ぎる感じ。一番良いのはアクリル板磨き用の「アクリサンデー」だと思う。これだと磨き傷がほとんど出ないのだ。この最終磨きはティッシュでは傷が付くのでネルや綿シャツなどを使って優しく磨く。
ウレタンクリアがうまく吹けていれば、そのあとの磨きも簡単。また、たとえゆず肌になっていても#2000のペーパーでほぼきれいになってしまうようだ。今回、最終磨き工程は手間もかからず、あっという間に済んでしまったので、この工程は省略しない方がいい感じ。
最初に取り外しておいたシールドベース等を取り付ける。
ダクトはニチバンの強力タイプの両面テープで貼り付け。文具用の薄いタイプがちょうど良かった。
Araiのステッカーは純正のモノをヤフオクでゲット。5×11cmサイズ、4枚セットで800円。ビニール製で柔らかいので曲面でもしっかりと貼れる。逆に、ドライヤーを使うと伸び過ぎてうまく貼れないのでやめた方がイイ。コツは台紙の中央だけを1cmぐらい剥がしておいて貼り、そのあと左右片方ずつ台紙を中央からめくりながら気泡が出来ないように外側に向かって貼っていく。
これでようやく完成。結局20日もかかってしまったけれど、乾燥時間が必要なので仕方ない。それとペイントに失敗してやり直しもしてしまったし・・・。仕上がり具合は一見、市販モデルかと見間違うばかりの出来で大満足。近づいてみるとあちこちミスだらけだけど、まァ、それはご愛嬌。
今回は最後に足付けが必要なウレタンクリアを乗せるのが前提で工程を考えたけれど、今回の方法では繊細なグラフィックの塗装は無理。カラーを厚塗りしておいてそれを#800でいちいち削らなければいけないからだ。そうしないためにはいったん捨てクリアを塗っておいて、それに足付けをするというようにしないとダメだと思う。次の機会にまた工夫してみよう。
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